次いで私の名を呼んでくれた女性が、さっき電話で会話を交わした春海のお母さん。


少し垂れた目が優しげで、美人と言うよりは可愛いという印象を持った。何ともなごみ系な雰囲気をまとっている。



春海の顔を見て、この人は御両親の良いとこ取りで産まれたんだなの何だか羨ましく感じた。


春海に小声で座れと促され、私も御両親に続いて再び椅子に腰を下ろして息を吐いた。




「いや、綺麗なお嬢さんだな春海。これじゃおちおち昼寝もできないな?」

「ごもっとも。」

「菫ちゃんモテるでしょう?まだ大学生だったかしら?」

「モ、モテるだなんてとんでもない…。今年で卒業です。」

「あら、じゃあ22?」

「はい。」




淡々と交わされる会話のおかげか、私は落ち着けと自分自身に言い聞かせていた。




と。

チラリ、春海と話していたお父様の視線が私を捉えた。ドキリと跳ね上がる心臓に息がとまる。