雪紫さんは、駆け出しのプログラマーで、私の外観や口調は考えることが出来ても、軽やかに、スムーズに、私の身体を動かすプログラムを創るまでは行きませんでした。

 専門が違うのだとかどうだとか。



 けれど今でもたまに、動きやすくなった私を見にアバターの姿で会いに来てくれます。

 私が今こうしてスムーズに掲示板を操り、ちょっとした動作を出来るのは、雪紫さんの先輩に当たる時雨さんのおかげでもあります。

 時雨さんのアバターは“ぐれさん”なのですが、僕によくちょっかいをかけていくんですよね。全く。


 無駄にきらびやかなキセル(レアアイテムですね、ウザいですよ)を持っている彼はコマンドを利用して、深く吸い込んだ煙を私に吹き掛けてニタリと笑うのです。


 ああ、憎たらしい。


 それに比べて雪紫さんは……(自重)。