「これ以上は上がれない。次の段階に行ってしまえば、俺は自分がやりたかったことを出来なくなる。

 それって俺がここに入った理由がなくなるんだ。

 もちろん、ずっとこの位置に居ることができるとは思っていない。

 この企画がうまくいけば、近付けると思うんだ。

 だから本当は、チームの足を引っ張ってるのは俺なのかもしれない」



 酔った勢いでも、嘘でも良かった。

 こんな私に話をしてくれた事が、嬉しくて仕方なかったの。



 彼女の頬は赤らみ、嬉しそうに目を細めて笑いました。

 美しいと、思った。

 私なんかには向けず、彼に向けたらいいのにと、向けるべき相手は別にいるのにと、その時思いました。