「…もう、いいよ」 思わず、言ってしまう。許さずにはいられなかった。 「本当? ありがとう」 握られたままの手が久我くんのほうに引き寄せられ、そして手の甲に口づけられた。道端での突然のことに驚いて、固まってしまった。 久我くんは私の反応を楽しむように笑って、私の手をひいて歩き始めた。私は引っ張られるようについていく。