―帰り道―


電車をホームで待っていると


「先輩、どんなお願いしました?」


「ん?まっ、受験の事かな?茜ちゃんは?」


俺は茜ちゃんの顔を覗き込んで聞く。


「私も“先輩が大学合格しますように”って」


そう言って、茜ちゃんはにこっと笑う。


「茜ちゃんもお願いしてくれてるんだから、俺、頑張らなきゃな。ありがとう」


俺は、


茜ちゃんも俺の事を応援してくれている


そんな気持ちが嬉しくて、茜ちゃんの腕をグイッと引っ張り、抱きしめた。


茜ちゃんは俺の事をお願いしてくれてるのに、俺は自分の事ばかりだな……


だって、俺のもう一つの…


いや、一番の願い事。