『はるか……。そんな寂しそうな声出されたら、切れなくなるじゃん』


そんな寂しそうな声を出したつもりはないんだけど。


「ごめん」


寂しいって気持ちが声に出ちゃったかな?


『いや、謝らなくていいんだけど……』


拓真は少し黙って


『そんな声聞いたら、今すぐ会って抱きしめたくなる』


その言い方は、いつもの“可愛い弟”の拓真じゃなく、“男の人”って感じがして


拓真が目の前にいるわけじゃないのに、すごくドキドキした。


私はドキドキしすぎて、顔だけじゃなく、身体中が熱くなる。


声だけなのに


拓真に抱きしめられてるみたい……


私が黙っていると


『ヘンな事言ってごめんね』


「ううん」


そして、少し沈黙の後


『じゃ、明日、迎えに行くね!』


拓真の明るい声が聞こえる。


「うん、待ってる。じゃ、バイバイ」


『バイバイ』


そして、拓真が電話を切ったのを確認すると、私は携帯を置いた。