あの頃の私達はすごく近くにいたよね
いつもあなたは隣にいてくれた

あなたが隣にいるだけで
私はすごく、すごく幸せだったんだ
何気ない仕草や一言に
たくさん救われたこともあったんだ

だけど私は「ありがとう」の言葉も
言えなくて、素直になれなかった

それどころか、私はあなたをたくさん困らせたよね
弱いところを見られたくなくて、
強がったりもした

本当はちゃんと「ありがとう」って
あなたに伝えたい

だけど、もう遅いのかな
いつの間にか私はあなたを
遠くからしか見ることが
できなくなっていた

まだ伝えていないのに
まだあなたにいてほしいのに

そんなことを考える日々が続いて
気付いたの

私があなたに伝えたい
もう一つの思い
「大好き」

でも言えない
もう言えない

それは私が弱虫だから
あなたに嫌われることが怖いから

あなたを想って眠れなかった夜も
何度もあった

だけどそんなの私の中だけだから
あなたに届くことはない

苦しかった
泣きたくなった

でも逃げてばかりじゃ進まない
私もあなたも

だから勇気を出して伝えたの

「今までたくさん
ありがとう
それからずっと
好きでした」

やっと届けることができた
私の気持ち

あなたは少しびっくりして
こう言ったよね

「僕も今まで
ありがとう」

それはいつもの笑顔だった
私をいつも元気にしてくれた
あの優しい笑顔

だけどどこか寂しそうだった
なんでかなって考えて
私が伝えたことに対してだって
わかったの

「ありがとう」と一緒に言った
「大好き」があなたを少し困らせた

それからあなたは考えて

「一緒にいて楽しかった
本当にありがとう…でもごめん」

あなたが何を言っているのかが
わかったから私は
なんでもないように笑って

「またね」

と言ってあなたに背中を見せた
だけどそれは決して
逃げたわけではない

進んだ結果なのだ
だから後悔は少しもない

だってちゃんと伝えたから
ずっと言いたかった

あなたへの気持ちを


本当にありがとう


-END-