伊織side

小さい頃から、ずっと入院生活。

学校なんか、通ったこと一度もない私、向井 伊織(むかい いおり)。

もちろん、友達は少ない。

でも、そんな私でも好きな人はいた。

その人は、私の主治医の堀北 綾人(ほりきた あやと)先生。

堀北先生は、小さい頃からの私のお兄ちゃんみたいな人だ。

「伊織ちゃん?もう起きてるかな?」

病室のドアをある人がノックした。

「起きてませーん!!」

大きな声でそう答えた。

すると、ドアが開いた。

「起きてんじゃん!!」

そう、この人が私の好きな人…堀北先生。

顔はすっごい美形ですっごく優しいんだぁ。

「どしたの?検診、始めるよ?」

「…やだ…」

私は小さい頃から検診が嫌いだ。

「…俺だって患者さんの嫌がることしたくないよ…。でも、俺は伊織ちゃんを救いたいから…  ね?」
ああまり
堀北先生は困った顔をして言った。

その顔がかっこよすぎて私は下を向いた。

「伊織…ちゃん?」

「…へ…?」

「体、診察していいかな?後待ってる人いっぱいいるから…」

「うん」

私はパジャマを少しだけあげる。

「…………」

堀北先生は耳を澄まして私を診察する。