―――「菜々子、お待たせ~」

軽い足取りでやって来た綾乃は、岡野を見て一瞬、固まった。

「あ、綾乃。
……岡野だよ」

「岡野光輝です」

「あ…、奥田綾乃…です」


二人のやり取りを横目で見ながら私は心の中でほくそ笑んだ。

………もらったな。


別に二人をくっつけたからと言って、得な訳でもないし、何も変わらない。

いい事をして感謝されたい訳でもない。

ただの……自己満足である。


ようやく、肩の荷が降りる。
それだけだ。

だけど、嬉しくも思う。