だが、今回の私は、この電話を待っていた。 …見つけたのだ。 彼女の心を鷲掴みにするであろう男を。 綾乃め。 あんたを唸らせてやるよ。 『菜々子が連れて来る男は、いまいち私のタイプじゃないんだよね。 大体、直哉くんも私のタイプじゃないもの』 ……タイプだったら、逆に困る。 綾乃は友人の中でもダントツの美人なのだ。 だが、皮肉な事に、そんな美貌を持て余す彼女が友人の中で唯一結婚していない。