「あれ。まだいたの」

いちゃ悪いかぁ!?

彼は私の手元を見て
「あ、それ仕上げんの」
などと言いながら、

………気が付くといつの間にか私の隣で作業を手伝ってくれていた。

「鳴瀬くん、いいよ。
私一人でやれるから」

「北野は、食べたくないの」

「はあ?何を」

「鼻つまってる?焼き肉」

え。

会社の隣は焼肉屋。

開けた窓からプーンと、風向きによってはお腹が鳴りそうないい匂いが時々してる。

今日は………北風だな。


そう言われると、もう請求書よりも焼き肉しか頭になくなる。