――とうとう、できました。
皆様に、新作をお届けすることが。

長い間停滞しておりましたこと、誠に申し訳ございません。

以前、ファンメールなんかで書きかけの山に埋まっていることをお話ししたと思いますが、今作は全くの新品であります。
ベリーズ大賞に応募したいと、あるとき突然思いました。が、バタバタと日常を過ごすうちにエントリー締切の1月8日になってしまい、半ば勢いでエントリーいたしました。

あらすじはその場で決めたものの、全くのネタなし。

「ねえ、祐吾。あんたの今読んでる漫画に出てくる女の子の名前は何だ」

「は?…『トメ』だけど」

「トメ…?それは…主人公のおばあさんか何かなのでは…?」

「そうだよ。トメばあ」

…だから。

「いまから小説書くの!ヒロインの名前が浮かばないんだよ!」

トメじゃあ決まらないだろう!

「…ああ。そうなの。…じゃあ『梨乃』にしなよ」

「りの?なんで」

彼は面倒くさそうに言った。

「友達の家の、猫の名前だよ」

「……そう」

猫…。
ま、いいか。なかなか可愛いじゃないか。使おう。