ただの貧乏人だと思っていたのに。
話を聞いた瞬間に、彼を取り囲むオーラが見えるから不思議だ。
「あんた。・・・なんでここで、スーパーの商品の入庫管理やってんだよ」
半ば呆れて訊ねる。
なんで、辞めたんだ。信じられない。
「俺、収入よりも、欲しいものがあったんですよ。今はそれを手に入れました。
なので今は幸せですよ」
「な、何だよ、それ。欲しいものは金で買えるじゃないか」
「嫌だな~、鳴瀬さん。金で買えないものもありますよ。
・・・自由と、・・・時間ですよ」
・・・。
そうだけど。
あんた、・・・年収一千五百万だぞ?
フリーターでは、生活の保障がないうえに缶コーヒーすら買えないじゃないか。