彼は私の「幸せか」の問いに、クスッと鼻で笑った。

「愚問ですね」

「は?」

何だ。急にキャラが変わったぞ。

私は警戒しながら彼を見ていた。

「俺が今、不幸な訳がないじゃないじゃないですか」

「な、何でだよ。…意味がわからねえ」

何なんだ。その自信満々な態度は。

「今の状態になりたくて、前の会社を辞めたんですから」

「あ?前?何やってたの」

「営業です。OA機器の。部下が五十人ほどいました」

「はあああ?何じゃそりゃ」