――「王子様……だってよ。

さぶっ………」

それから数時間後。

私は岡野と事務所のデスクで向かい合って話していた。


「………マジでか。
あの子もなかなか見る目があるじゃねぇか」

「…絡まれて大変なんだよ。
何とかしろ」

「……うーん……、あんまり好きなタイプじゃないんだよな」

「お前が好きだなんて稀少な娘、もう二度と現れないぞ」

「じゃあ、あと数年独りだったら鳴瀬に離婚してもらうわ」

「…………」

「………全力で、冗談なんだけど」

「……あ、…ああ。そう」