結婚した時もそうだった。

他の男との恋愛話をこの男は余裕で肉を焼きながら聞き流し、それについて『こうしたらうまくいく』的なアドバイスまでしていたのだ。

普通に考えるとおかしいじゃないか。
好きな女なら自分以外の男と話をする事すら穏やかに聞けるものではないのではないか。


挙げ句、別れそうになった瞬間に『俺と結婚すればいいんじゃないか』と言い出した。


……………。

今まで聞けずにいた。

旅先ならではの開放感も手伝っての事なのか、私は多少気が大きくなっていたのかも知れない。


「直哉は………何で私と結婚したのよ」


「……は」


言った。
言ってしまった。

………もう後には引けない。
(↑勝手にそう思う)