「危ないじゃない。
何で一人で外に出るんだよ」
彼は私を睨みながら批判めいた口調で言う。
「いや、抹茶オ……」
「まさか。
このまま、いなくなるつもりだったのか」
………は。
「もう、嫌になったのか?
家事や仕事や育児に追われて、逃げ出したくなった?
…………そんなに、疲れたのか」
「………」
何だか………。
話が大きく飛躍している。
だが、ふと思った。
直哉を試してみたい。
思えば私の物足りなさは彼のせいなのではないか、と、本当は思っていた。
私達は父親と母親である以前に男と女なのだ。
結婚しているから、とはいえそもそもは赤の他人。
お互いの気持ちを確認し合う必要がある事は、何も結婚前の若いカップルに限っての事ではない。