『日常を忘れたい』

その一言が私達をここまで連れてきた。


実は、私はその発言に対して微妙な罪悪感を感じていた。

今の日常に満足していない訳ではない。

健康で、目立ったトラブルもなく、家でも会社でもそれなりに楽しく暮らしている。

「はぁ…」

だけど何だろう。
何だか、もの足りてはいないような。

贅沢な悩みだとは思うが、何かが欠けているような気がしてならない。