「何?お祭りなの?」 「いやあ、分からないけど、団子とか売ってたりするかなぁ」 「団子? 売ってたら買ってよ!」 「ああ。 あるといいな」 …………「ねぇし…」 祐吾が冷めた声で呟いた。 私は何も言えずに固まりながらそのやり取りを聞いていた。 ……やっぱり。 直哉は姫路城をテーマパークか何かと勘違いしているようだ。 本当に、きっと、ただの、『城』しか無いはずだ。