「ああ、もう。貸して。 私がやるから」 「すみません……」 しょぼんと項垂れる彼をチラッと見て、思わず励ます。 「まあ、慣れればなんて事ないから。 そんなにへこむなって」 誰でも初めから出来るヤツなんていないんだ。 偉そうに言う私も、同時入社したやつらの中では一番覚えが悪かった。 「…はいっ。 ………ありがとうございます」