その男の人が行ってから、麻里が来たのは
ほんの、数十秒間だった。


 「彩乃~!」

 向こうで、麻里が手を振っている。

 「おはよう。ちょっと、早く来過ぎちゃった。」

 「張り切りすぎだよぉ。」

 二人でケラケラと笑った。