9時半。家から駅前はそんなに近くないから早めに家をでた。



これが、運命だったんだ。

私と君の、運命だったんだ。



ちょっと、早く来過ぎちゃったかな。
あまり人の通らない、朝の時計台。
そこに、私は腰を下ろした。まだ、少し暖かくなってきたなぁ。もうすぐ5月だし。


誰かが、後ろから歩いてくる。
その人は、私のすぐ傍で足を止め、ゆっくりと肩を叩いた。

「ねぇ、君ってI高校じゃない?」

振り返ると、私と同じぐらいの歳の男の人だった。
「そうですけど・・・。」
「やっぱり。どこかで見た事あると思ったよ。」
その人は、綺麗でとても優しそうな笑顔をみせた。

「何年?」
「一年ですけど・・・」
「そうなんだ・・・俺、2年。俺のほうが1個上だね。」
「そうですね・・・」
「じゃ、また学校で!」
 また、笑顔をみせた。その笑顔に私は、ただ、ペコっと頭を下げるだけだった
私と君の、運命だったんだ。
下げるだけだった。