翌朝、予想していた通り、あの男子が話しかけてきた。

「おはよう、昨日大丈夫だった?」

「うん・・・ありがとう・・・。」

微笑むフリをする。

「俺さ、佐々倉裕也っていうんだ。よろしくね。」

ぺこりと頭を下げる。

何も言うことがない。黙って相手を見つめる。

「宮井さんってさ、そのきょとんと相手を見るところがかわいいね。」

佐々倉くんは、少し顔を赤らめて言う。

こういう時は、どう答えればいいのだろうか。

「でも・・・私よりかわいい女子なんていっぱいいるらしいよ・・・」

あの一件を思い出す。

「宮井さんさ、もっと自分に自信持った方がいいと思うよ」

彼は頷いてから、また始める。

「ていうか俺、宮井さんみたいな綺麗な女子初めて見たよ。

なんか出てるオーラも普通の人と違うんだよね。」

髪を耳にかける。

なんと答えたらいいのかわからない。

「ありがとう・・・・」

しばらく間があいた。

「じゃあまた、なんかあったら俺に言ってよ。」

少しだけ微笑んで相手を見る。


緊張感から解放されて、ふっと息をつく。

気がついいたら、たくさんの人がこっちを見ている気がする。

疲れた。会話するのは疲れる。