「ん?宮井さんの知り合い?ごめん邪魔して。」
相手の事をよく見ると、後ろに友達らしい人が
二人ほどこちらを見ている。
三人とも誰なのかが全くわからない。
「それじゃあまた。絶対来てね。」
そう言うと、大学生の青年は消えた。
「知り合いじゃないです」
その人がいなくなってから、私は言った。
「もしかして、ナンパ?」
私は首をかしげてから
「そうかもしれない」
と頷く。
「やっぱ宮井さんって人気あるよな」
後ろの男子に同意を求めている。
「あの・・・ごめんなさい・・同じクラスの方ですか?」
彼の顔が静止した。
「えぇっ!?覚えてないの!?」
「ごめんなさい・・・あんまり他人の顔とか見ないから・・・」
疲れた。会話するのに疲れた。
「そっかあ、宮井さんいっつも本読んでるもんなあ・・・
男子にモテるのにもったいないよ」
それが嫌だから、本読んでるんだよ。
と、心の中で嘲笑う。
「それじゃあまた。」
頭を下げて、その場から離れる。
お父さんが、待っている。
早く帰らなくては。
彼が喜びの声を上げるのが聞こえる。
やっぱり、馬鹿な男子は嫌いだ。