あれから、あの人の事が頭から離れない。

高い鼻、綺麗な髪の毛、あの真剣な瞳。

あの、何も映していない、無感情な

あの目が忘れられないのだ。

授業が終わると、群がっている人ごみをかき分け、

校門を出た。

行く充てもなく、とりあえず進むまま

自分の足に行先を任せる。

「ねえ、君一人?彼氏とかいるのー?」

立ち止まって振り返る。

相手は大学生のようだった。

「俺の相手してくれないかな?」

微笑んだ顔は、思わず女子が見とれてしまうくらいだろう。

でも、私はこういう下品な男が大嫌いだった。

「悪いですけど、時間がないので・・・」

無表情で相手の反応を待つ。

「え、ちょっとでもだめ?」

「ごめんなさい・・・」

頭を下げると止まっていた足をまた進める。

「待って待って。」

「なんでしょう?」

無表情に相手を見つめる。

しつこい男も嫌いだ。

こういう場合ばしっと言った方がいいのだろうか?

「またここに来てほしいな。君みたいな女の子初めてだよ。」

私が口を開こうとしたとき、後ろから声が聞こえた。

「あ、宮井さんじゃん。」

制服が一緒ということは同じ高校だが、見覚えがない。

「こんなところで何してんの?」

「え・・・いえ・・別になにも。」

髪を耳にかける。

焦ったりすると、髪の毛を触る。

私のくせだ。