「 ―― あった ここだ 」
自転車を返し 徒歩
賑わう通りから、一本横に入った
看板に、明かりがつき始めたコンビニと
事務所系列が入った建物が並ぶ
" 彼の工房は、
そのコンビニがある四階 "と
教えられた通りに階段を上がり
すぐに、
あのタグにあったデザインまんまの
『青戸』の表札を見付けた
扉前の、狭い通路
奥まって行く程に、
物がかなり置かれていて
使用済みのマネキンの頭部とか
胸から上だけの石膏像とか
突き当たりには
中華料理屋にある様な、
テーブルと椅子があって
一人、男がスケッチブックを開き
その視線は
テーブル上の硝子灰皿と
紙の間を一生懸命に往復している
ふと、その顔があがって
俺達に明るい笑顔のお辞儀をくれる
反射的に、それに習った
「 ―― ハルトさーん!
お客さんみたいですよー! 」
彼は立ち上がって
玄関の開いていた、
奥の部屋に向かって声をかける
「 ……え… ハ、ルト…? 」
… 硬直