「 … あった  」


かなり電化の進んだ風呂場


脱衣所を照らすライトは
貼付け型の、有機ELプレート


アズが乾燥機の上
小さなカゴにまとめておいてくれた
携帯や財布、そしてタバコとジッポを
内ポケに入れ、ポン と叩いた




ガラスから
差し込む光はオレンジで ―――――


少し眩しく思いながらも

"夕暮れになって来たんだな"と、

まだ暖かい空気に、肩を回し
今来た廊下を戻りつつ思う






「 ―――… だから 」


突然

アズの固い、響く声が
向こうの部屋から聞こえて来た