「 判ってて、フタをしてただけだね

――… 焦ってたんだきっと


僕 思うにね

カーチェイス最中か後に
クウヤンとアズルン
きっと、何かあったと思うよ 」



「 ――… 何か　って 」


「 だけど直後に
ローグウェルの姿がハッキリ見えて来て

… アズルンを
自分が守る必要が無くなってしまった


そこへ水谷君が
スルッと、クウヤンの心に
何か囁きかけたんだと思う 」




「 ……――― ハルトは

…… そんなに、悪い奴じゃ… 」




「 悪い人じゃないよ
それは僕も、充分わかってる


普段、普通に付き合ってる場合や
アズルンに対してはね




だけど

彼は僕らを、本気で憎んでる


とても深く、冷静に 」




「 ――…… 憎んでる… 」




「 岡田君

――― "修羅" って、知ってる？ 」




「 修羅…

――― 修羅場なら、よく知ってるけど 」