タバコを置いた長い指は
アズの頭の上から、首筋まで滑る


「 … 最初にあの子達に会った時

特にユカちゃんは

―――… 昔のおまえ位の背だった 」




次にその指は
アズの瞳を見つめながら


泣いたせいか、いつもより赤い ―――

少し開いた唇の上をなぞる様に
ゆっくりと 滑って行く




「 … 出会ったばかりの灰谷に恋して

どうしていいか判らず、泣いてた


余計なお節介だったけど
俺経由で、また連絡が取れる様に
携帯番号を教えた


――― それから、海に行って花火


興味ありそうだったから
スタジオに行って、
野外ライヴは、チケットを送った


そして、保養所 」




「 ―― ま、保養所に関しては
偶然オレが道で会って

煮出した昆布みたいになってたから
連行したんだけどな 」