「 ――――― トオヤ !! 」


その声に

床に寝そべっていた灰谷も
ソファに沈み込んでいた俺も
物凄い勢いで、飛び上がった




裸足で駆け込んで来る音
揺れる琥珀色の 長い髪




眼を見開く灰谷の体に
アズは躊躇なく、飛び込んだ




驚きつつも灰谷は
その細い体を、しっかりと受け止める




『   …アズ  』


「 合格おめでとう!!!
さっき、クウヤから聞いたよ!!! 」




部屋の入り口
名前を呼ばれた真木自身が
荷物を抱えて入って来た




『 ――… ありがと …アズ… 』


済まなそうな

切なく歪めた灰色の目が
喜びに微笑む、碧の瞳を覗き込む


「 発表、見に行った?! 」


『 … いや
昨日、ネット掲示板で見たし
受験生胴上げとかされたらキツいから
行かなかった… 』


「 じゃあ お花見しよう?
――― 皆でお祝い!! 」


『  …アズ 俺…  』