「 ―――… やっぱりダメね
この程度じゃあの人、追って来やしない 」
ふう、とひとつ息をして、利発に笑う青
大きく上げる、唇の端
――― ああ、真木か
そう思いながら、無音の廊下
アドリアナの振り返った方を見る
「 あ、言わなくていいわ
…ちょっと試したかっただけだから 」
"あいつはそういうのには
多分、乗らないと思うぞ"
そう言おうとした矢先
心を先駆けて読んだみたいに
答えがこっちに返って来た
読んで、読まれて ――
賢いな この子
アズのは経験による、勘に近い
何度も、酷い目にあって…
ネコ嫌いの奴の所に
ネコが近寄って行かない感じに似てる
でも"アドリアナ"は
理屈によって、動いている感じだ
「 …アズルにメイワクをかける気はないの
だからトオヤさん
――― そんなに、コワイ顔で見ないで 」