途端に、胸の辺りが

雨が降る前の風にざわつくみたいに
少し湿った、イヤな音を立てる


だからこれも何か
計画行動のうちのひとつなのかとか


…また俺が原因なんじゃないかとか


――― だってこの子は多分




「 大丈夫よ

… 今日は"カゲムシャ"として
ここに来たんじゃないわ 」




「 ――… やっぱり…お前… 」



俺の言葉に、ニコリと笑う唇


だけど瞳は笑っていない




やはりこの子は


あの空港のカメラに映っていた
" もう一人のアズ "だ ―――