「 … 働いてた時
オミヨさんが、言ったよ




"ここの夜は、ファンタジーなの
異形が集まる街なんだ"って


"アタシたちは、体と心が違う


それを人は、認めたくない
自分と違うモノは怖いから


私達が攻撃しなくたって
それだけの理由で、切り付けて来る


だから、ここに皆集まってる
私はそのコ達が生きていける様に
場所を提供してる




… お前もそうだよ あずる


心は普通のコなのに
飛び抜けた美貌


どうかしてんじゃないかと思う記憶力と
他では聞いた事のない歌声


大昔だったらマタハリみたいに
スパイにでも仕立てられてるタマね


けど、見た目だけならいい
良く出来た人形で済むの


ここに居着くなら、もっといい
改造して、人工美集結の街だから


そして美貌は
年と共に崩れて行くから ――――


でも、歌は本当に
あんたを守ってくれる人が現れない限り
絶対に、歌わない方がいい


どんなに綺麗でも
人はそれに慣れるから
カナリアみたいに閉じ込められて
飽きたら、捨てられるよ" 」




「 ―――… 」




「 夏の陣の時にも言われた

だからあんたは、
ハルトの所に戻りなさいって


当時はあれも若かったし
色々思いもあったでしょうから


でも、あれだけ自由に外歩いてて
アンタが怖い思いしなかったのは
ハルトといた時期だけでしょうって 」




「 じゃあ あずるは何故すぐに
水谷の所へ行かなかった? 」