「 真木くんがそうしなかったら
あずるちゃんは、助からなかったよ 」




ギィ と
梅川さんが座る椅子が鳴った




「 ―― アズル暑いの弱いの
変わらないですけどね 」


真木が笑う




そしてその手元で、携帯が震えた


「 ―――― おう 」


応対してから おもむろに


「 なあ、青山オマエさ
アズルにバレンタインデーのチョコ
突っ返した覚えあるか?! 」




そう躊躇無しに聞いて
俺がそれに驚いていると
"いいからいいから"と目配せされる


しばらくしてから爆笑し


アズのポストに
チョコが入っていた事


それが、青山に渡した物と
外見が一緒らしいと言う事を話す




―――― そして


ひそかに抱えていた
ユカちゃんへのヤキモチ


そんな事を 一通り話終えた後
頷きながら笑い、電話を切った