「 "一晩限りの復活ライヴ"
二年前から、交渉してはいた
羽室さんと寿人さんはソロとして
現在も活躍してる現役
ベースの吉野さんは、
プロデューサーとして
裏方長いし今更、ってさ
――― 何しろ玲志が行方不明で
" 他人を入れて、弾くつもりも無い "
歴代の交渉人が、
返されて来たのと同じ答
" 復活は有り得ない "
でも、その行方不明だった
"玲志"の息子が出てくりゃ別だ
事務所的なもんはあったけど
かなりトントン拍子に話は進んだ 」
「 何でそんな…
――― 青山の…ためにか? 」
「 いや?
オレはリアルタイムじゃないし
見てみたかっただけなんだ 個人的に 」
「 ………― 個人的に、って… 」
「 当時
まだライヴハウスでやってた彼らを
松田さんが見出だしたんだ
VOICEと一緒になって、
事務所側と喧嘩した事も
多々あったらしい
だからあの人には
誰も頭、上がらねえんだわ 」
「 …力押しじゃねえのかそれ… 」
真木は横の窓を開け
ニヤリと、子供みたいに笑う
そしてカチリと煙草に
電子ライターで、火を着けた後
「 あ 」
そう声を挙げて
人差し指と、中指の間に挟んだ煙草を向け
いきなりこっちを振り返った