「 オレはオマエんとこと変わらねえよ

池上はもしかしたら、養子に出て
ボウズになってたかもしれない
って以外は
波風ない、普通の家の子供だ 」


「 ――… ボウズって、お坊さんか 」


「 おう
その親戚の古い寺が、山の上にあって
今度皆で合宿行こうかなんて話もしてる 」


「 なんか… 非常に納得した
池上の雰囲気の由来 」


「 だよな
でも昔はも〜っと
世捨て人みたいだったんだぜ?

いまだにフラフラ
写真撮りに歩き回るから
梅川さんが"お遍路さんみたいだ"ってよ 」




診察室のカーテンを開け
ひょこりと出て来た、梅川さんも笑う


コーヒーメーカーから
焦げ茶色の液体を注いで
ゆっくり、口に含んだ




「 ―――― 青山は?

本当に"魔王"って訳ないしさ 」