少し疲れたのか

ロケットに昇る為の階段に
アズがヒョロヒョロと近付いて座る




「  ―――… 飲め  」


その様子を見ていた真木が
ゆっくり傍に歩み寄り
手に持っていたコーラのペットボトルを
不遜な態度で、アズに向ける




指輪のついた、真木の右手


下の方を持ったままの容器に
アズが、両手と唇を そっと添える


琥珀の長い髪を 邪魔にならない様に
耳にかけてやる、真木の左手



何度か 白い喉を鳴らすうちに
容器は綺麗に空になり


真木は、それを取り上げ
下からすくい上げる様に放って
近くのごみ箱に捨てた




「 ―――ホントに
ロケットなんだな  これ 」




踵を返し
あらためてそんな事を
明るい声で、確認する真木


手摺りを持って
ダンダンと音を立てて昇り
体育座りしている、アズの後ろに立つ




「 ―――― … ルウ 」




上空遥かを見つめながら
何故か真木がアズを
"ルウ"と呼んだ