仕度をし
木材の壁に反射する
橙に照らされた
広い玄関先に、二人立つと


腰を屈め、ウロウロしながら
アズが何かを探し始めた




「 ―― どうした? 鍵か? 」


「 うん
いつもここに引っ掛けてあるんだけど…
他の鍵も付いてたから、お父さん
持って行っちゃったのかもしれない 」


「 スペアはよ 」


「 スペアがそれなの 」


「 は? じゃあマスターはどこよ 」


「 クウヤが持ってる 」


「 ―― そうだ
アズお前、真木に連絡したか? 」


「 さっきした
あ、出るときもう一回
連絡いれろやって言われてたんだ 」




サンダルに、足を入れながら
慣れた調子で動く、アズの細い指




「 もしもし? 」