"赤坂"とアナウンスがあり

窓の外に
光沢ある黄土色の壁面が見えてくる


コートを着た大人達と入れ違いで
開いたドアから降りた




"赤坂、東都放送前"の
構内アナウンスが終わり
狭い線路、乗って来た電車が走り去る


とても静かな地下駅 ――――


ここに降りたのは、初めてだ




人はホームを二手に別れて流れ
俺は無意識に、
その波の太い方へと足を進めていた




「 淳、こっちこっちー!
こっちのがね、キレイなの! 」



少し離れた位置
アズが手招きしながら俺を呼ぶ




「  ―――― 綺麗? 」