ハルトは、
壁の絵の位置を直しながら
椅子を入口近くに移動して
膝の上で、指を組む
「 キミがマンハッタンから帰った後
御家騒動終結に向けて
様々な人間が動いた
一部裁判も起こって
それは当分続くと思うけど
圧倒的な立ち位置で、
ローグウェル夫人が勝つでしょう
そして残されたアドリアナ
夜中、夫人の屋敷に
大人達が集まった時かなあ…
アドリアナをどうするか ―――
そんな話し合いをしていて
クウヤが言ったんだよ
『 オレの体を気遣い
本を見舞いに持って来てくれた
そんな部分だってアドリアナにはあるのに
―― それを染めてしまった周囲
大人達が憎い 』ってね 」
「 … それは別に、
アナを憎いって言ってる訳じゃ… 」
「 まあ、そうね
かなり人が居てザワザワしてたし
拾い聞きしてしまったからなのか
深読みしたのかは知らないけど
それに当時は殆ど
あの女、日本語判らなかったからね
話せても書けても
ヒアリング出来る様になるには
かなり時間がかかるじゃない 」
「 オイ ハルト!!
ちょっとオレ、外出て来るわ! 」
「 ――― どうしたの? 」
真木が入口へ
ハルトが、席を立った