「チャコさんってば。僕もひなちゃんも、そういうの慣れてないですから。」

「えぇー?朝比奈さんは慣れっこでしょ?
ウチの常連さんで朝比奈さん目当ての子もいっぱいいるんですよー?」

「はい?」

「とぼけちゃってー!ねぇ、ひなたちゃん?」

「へ…あ…えっと…そ、そうみたいですね。」


…ズキっと刺すような痛みが全身を駆け巡る。
自分で言って傷付くなんて…。


「僕目当てではなく、キューティーブロンドのお菓子目当てですよ。
もし仮に僕がモテているなら、クリスマスを一緒に過ごす相手の一人くらいいてもいいはずでしょう?」

「えー?もしかして朝比奈さん、今年は一人…。」

「何ですか、その憐みの目は…チャコさん?」

「うわーごめんなさい、つい…だって、ねぇ?」


チャコさんが私の方を見る。
…え…こ、こういう時どう言えば…


「まぁ、今年も一人で寂しく過ごさせていただきますよ。
あ…でも、今年は寂しくはないかもしれません。」

「え?」

「どういうことですかー?」


私とチャコさんの声が被った。
すると、朝比奈さんが小さく微笑みながら言葉を続ける。


「今年はひなちゃんのケーキがありますから。
少なくとも寂しい想いはしないかなって。」


より一層優しく微笑むその表情に、ドクンと心臓が鳴ってすごく…うるさい。
ど…どうしたの…私…。