「ひなちゃんにしか作れない〝味〟があるよ。
僕はそれに触れている時間がすごく好きなんだ。」





…ドクン、ドクンと高鳴る心臓。
私だけの味、それを好きだと言ってくれる朝比奈さん。




「私の味…。」

「うん。ひなちゃんの味。
僕は今のままのひなちゃんの味が好き。
だから、無理して背伸びしようとなんかしなくていい。
のびのびと作ってる姿の方が、ひなちゃんに合うんだと僕は思う。」





真っすぐな朝比奈さんの言葉がじわりじわりと心にしみていく。
もやもやとしていた心が少しずつ、温かさを取り戻していく。


〝好き〟という言葉が、優しい。
その言葉に、励まされる。





「ありがとう…ございますっ…。」

「うん。やっぱりね、ひなちゃんにはそういう顔が一番いい。」


微笑みかけられて気付く。
…あぁ、私もちゃんと笑えてる。
最近溜め息しかつけなくて、笑えてなんかいなかった私が…。


朝比奈さんの言葉だけで、笑顔になれる。
朝比奈さんが…温かい言葉をくれたから、私は今…。