「それで何なのかしらミラ」
着替え終わるとドアを開けてミラをまっすぐに見つめながら腕を組んだ。
「姫様、最近忙しそうでしたので散歩を…」
「私に散歩を勧めに来た、と?」
「はい!」
何かあったのかと多少ハラハラしていたがいつもながらミラには驚かされる。
数日前にも私が忙しそうだからと甘い果実を採ってきてくれていた。
「散歩ね…いいわよ。
ちょうど気分転換したいところだったしね」
子供のような笑顔を浮かべて外で待ってると言って行ってしまった。
綺麗な情熱な赤い髪にほそっこい身体。首には私が昔あげた青バラのチョーカーをつけていつも元気なミラ。
私の一番の理解者。
こんなことはできれば考えたくないけれど、あなたはいつ、私のもとからいなくなってしまうの?
昔からそうだ。
私のそばに仕えていた者はみな…死んでいった。
原因は不明。
気づいたらそばにはミラしかいなくて新しい使用人を雇って私のそばで仕えていたとしてもすぐいなくなる。
逃げたわけじゃない。
何故か『死んだ』
そうミラに教えられていた。
いつしか私のそばに近づくと不幸になる。
そういう噂が流れていた。