「寒くないか?」

―――外は冷えきっていた―…。

「ちょっと寒い…かな…」

「妊婦のくせに、そんな格好して
いるからだろう?」

「妊婦でもオシャレしたいのよ」

「………ほら。これを着ろ」

「…………ありがとう…」

着ていた背広を脱ぎ、
肩にかけるとすぐに、
美憂は袖に腕を通した。





「温かい……」

「………そうだな。ホテルって、
どこにあるんだ?」

「そこの角を左に曲がって……」

言われた方を見る。



「こっちって……」

思いっきり、
ホテル街じゃねぇか…。