「美憂…」

「妊娠しちゃったのよ」

「妊…娠……?」

それじゃあ…。

「うん。あ、何か勘違いしてるみ
たいだから言っとくけど、これは
お酒じゃないし、私はシラフよ」

「…………シラフ?まじ?」

こんなにふらふらしてんのに…?

「えぇ。酔ってるふりしてれば、
相手にしてもらえると思って、演
じちゃったわ。………久しぶりに
ね」

そう言った美憂は、
今度はしっかり立った。


「………演技力は相変わらずか」

「……そうみたいね」

―――美憂は高校時代、
演劇部のエースだった。