東京を出た新幹線は新潟に向かうまで、
埼玉、群馬を通り過ぎる。
群馬の高崎を出発したあと、
しばらくすると、長いトンネルに入る。
そのトンネルを抜けると、
高崎では見られないけれど、新潟で見ることができる景色が広がる。

その景色について、
昔、誰かが
「トンネルを抜けると、そこは雪国だった」という表現をしたそうだけど、
その表現以上にしっくりくる表現に私は未だに出会っていない。

あぁ、私、帰ってきた。

何度となく、東京から帰省してきたけれど、
新潟に帰ってきたことを最初に実感させてくれる景色は
越後湯沢のそれだ。

新潟は、寒い。
新幹線のホームでは感じない寒さも、
特急への乗り換えホームではしっかり感じる。

うん、新潟だね。

特急に乗り換えて、父と母にメールを送る。

今、新潟をでたよ。

ここでメールを出しておけば、
返信がなくても、駅まで誰かが迎えにきてくれる。

そこへ、眠魔が襲ってくる。
私は新幹線で眠ることができない。
けれども、新潟の特急列車では眠れてしまう。
念のため、携帯電話のバイブレータでアラームを設定して、眠りの世界への誘いに身を任せる。
新幹線と特急列車。
同じ電車のような気がするけれど、何が違うのだろう?