だがこの戦乱の世をかいくぐるには互いの力が必要と思われたにもかかわらず
運命のいたずらか、
彼らは出会ってしまった。


騎馬軍は残り、2,3。
あとはかよわい妻と幼い娘、それから自分。
そんなときに出会った。


「何かいい残すことは?」

髪をつかんだまま五十嵐が問う。

「私は…」

桜宮は言葉を紡いだ。


終わってしまう。何もかも。

まだ幼い娘の命も。自分の愛しい妻も。ここまでついてきてくれた部下たちの未来も。


「私は―――!!」