「まだ…まだ、あの人のこと、忘れられないの?」



私は、紫音の胸の中で、首を横に振った。

反射ストーブの上にかけられた、ヤカンの湯気が、シュンシュンと音を立てる音が聞こえた。



「秀が…元カレのせいで、寂しくなってるんじゃない」



「え……?」



「今、私が寂しいのは、紫音のせい、だよ……」