溶けたみぞれ雪が、ポタポタと紫音の傘から床に落ちた。 落ちた雫を見つめながら、切れた息を整える。 顔をあげると、そこには紫音がいるであろう、研究室の扉。 寒さで、感覚がなくなった手をドアノブに近づける。 トントン…… 「はい」 扉の向こうから聞こえたのは、間違いなく紫音の声だ。