「お母さんっ!お母さんっ!!」


慌てた私は夕食作り中のお母さんの元へ駆け寄った。


『何~?もう高校生なんだから依吹ももう少し――』

「明日、お弁当作りたいの!」

『――は…?』


お玉を持っていたお母さんの手が止まる。

え?

な、何でお母さん固まっちゃってるの…?


「おかあ…さん?」

『依吹…、今、あなた……』


話しかけてもなんだか上の空みたい。


「もう…。明日、お弁当作るから、作り方教えてって言っただけじゃない!」

『……っ』


さっきからそう言ってるのにもかかわらず、お母さんは今初めて聞いたように目を開かせ、私を凝視した。